配信系アプリの設定

マルチチャンネルに対応していないアプリケーションの使い方

最初にユーザーに深い理解をお願いしたい項目があります。それは DAW 以外のアプリケーションは基本、Windows であれば ASIO ドライバーに対応しておらず、macOS のアプリケーションもマルチチャンネルの処理に対応しておりません。また、Windows OS のカーネルミキサー (OS の標準オーディオのこと) は ASIO ドライバーを使用できません。

⚠ 重要なことは  Windows OS (標準のアプリ) と DAW (マルチチャンネルアプリ) では使用しているドライバーは全く異なる という点です

Antelope Audio 製品の Windows Audio 用のドライバーはドライバーセットに含まれているので、2ch の In/Out でしたら カーネルミキサー上で動作します。つまり ASIO 対応していないアプリケーションでも 2ch の In/Out だけは使えます。これは macOS の CoreAudio も大体同様の動作をします (ただし CoreAudio のモノラルはまた動作が異なる)。通常のアプリケーションは Windows も macOS もモノラルまたはステレオのインプットしか扱えません。

※ ユーザーは OS 側の仕様や アプリケーション別でドライバの扱いや動作が異なることを十分に理解した上で以下の項目を理解する必要があります

オーディオインターフェイスのチャンネル概念を理解する

基本的に、Windows、macOS ともに、DAW 以外のアプリケーション レコードチャンネルの “1” または “2” しか認識しません。マイクの信号等をアプリケーションに入力したい場合は、COMP REC 1 に接続してください。Easy Panel の場合は Record 1 に信号を入力してください。

⚠ 旧製品の USB 接続の場合は USB REC 1-2、Thunderbolt 接続の場合は TB REC 1-2 となる。最新のデバイスの REC チャンネルは COMP REC という表記に統一されている)

コントロールパネルは任意の信号を Record 1-2 チャンネルへルーティングすることが出来ます。コンピュータの再生信号をルーティングすれば俗に言うループバックが形成されます。

Easy Panel 以外の上位機種に採用されているコントロールパネルは内部ミキサーのマスターアウトを USB REC にルーティングできるので、Windows のカーネルミキサーの信号 (USB Play 1-2) とその他、入出力されている信号を内部ミキサーに一旦まとめ、そのミキサーアウトを再度カーネルの 2ch インプットに入力すること自体は可能です。こうすることで自分自身でループバックミキサーを形成することができます。

macOS でも同様のルーティングをすることで macOS 上で再生している音声をアプリケーションに入力することが可能です。この場合 SoundFlower 等の仮想ドライバは必要ありません。フィードバックに注意してルーティングしてください。

Easy Panel を採用している製品で現在、Zen GO SC 以外のデバイスはループバックチャンネルの概念が無いため、自身でループバックを形成する必要があります。この場合にサードパーティ製のミキサーソフトや仮想ドライバを利用します。

EasyPanel の製品の場合、仮想ドライバーや別のミキサーソフトを使いたくない、という人の場合、Monitor Output の信号を Line In に再度 TRS ケーブルで物理的に入力してループを作るという方法もあります。これは物理的なループのため認識がしやすいです。ただし 2ch のアナログインプットを犠牲にします。(基本的にマルチの信号を最終的に Record 1-2 に入力させるには外部ユーティリティが必要です。外部ユーティリティは絶対使いたくない、という人は物理接続をしてください。)

これらの仕様は OS のドライバの仕様とアプリケーション側の仕様に準じています。多チャンネル I/O を標準アプリで利用する場合、信号の流れやチャンネルの制限などを考慮し利用する必要があります。また、ルーティングさえ駆使すれば、任意の信号を標準アプリに入力させることも可能であり、柔軟に対応できるのがこれらのコントロールパネルの強みです。

⚠ 高度な情報: USB Driver 4.86 以上を利用できるデバイスの場合、マルチチャンネル WDM がサポートされました。これにより Windows Audio の再生チャンネルに自由度が生まれました。COMP PLAY 1-2 以外からも Windows Audio (OS の音) を出力することが出来ます。また入力チャンネルも 3-8 ch が選択できるようになりました。

例えば Zen Go SC はループバックチャンネルを備えており、現在 Record 7-8 に内部ミキサーの LR の信号を送っている状況です。

Windows であれば、OS の標準 Input を上記の画像のように設定すれば、ミキサーでまとめられた信号が OS の 標準インプットシグナルとして利用できます。

macOS で Loopback のルーティングを利用する場合 (Zen GO SC)

macOS 標準 (仮想ドライバアプリを使わない) で配信系のアプリを利用する場合は Record 1-2 のチャンネルに Loopback 1-2 チャンネルをルーティングしてください。

現状、このループバックルーティングは Zen GO Synergy Core のみですが、上位機種は内部ミキサーの出力信号を COMP REC 1-2 にルーティングすれば、内部ミキサーでまとめた信号が macOS 標準でアプリケーションに入力されます。

配信系のアプリで利用しているデバイスを選択し、必ず「ステレオ」で入力してください。

配信アプリケーション等を利用する場合の確認事項

 重要 1-2 ch すら認識しないアプリケーション (特に Windows 版 の OBS 等) もあります。

 重要 macOS のアプリケーションの場合、ドライバー選択の自由度がありません。通常アプリケーションの機能だけでは OS の信号をループバックさせることもできません。これは macOS やアプリの仕様で、ドライバーや製品設計とは関係がありません。OS 側の機能では不可能です。

上記の制限があるようなアプリケーションでの利用は、Windows であれば VB-Audio VoiceMeeter 等のサードパーティ製の仮想ミキサーが必要になります。macOS の場合、RadioCast や Soundflower 等のアプリケーションが必要です。(またはループバックを独自に Input 1-2 へ入力させるなどを行う)

※ Soundflower や LadioCast の使い方についてはすでに色々な情報サイトで語り尽くされているため、あえてここでは解説致しません。各自検索してご利用ください。

または ASIO ドライバーを読み込めるアプリケーションの場合 ASIO4ALL などのサードパーティユーティリティドライバーを使うなど、回避策を考えることが出来ます。OBS の場合 ASIO を読み出す拡張アドオンもあります。

※ アプリケーションや OS の対応問題に関連する事象に絡み、配信自体は高度な操作と理解が求められます。

※ 注意事項とヒント Zoom 等 CoreAudio をデフォルトで モノラル で扱うアプリの場合、CoreAudio はレコードチャンネルをすべて入力する仕様です。これは Antelope Audio 製品以外も同じ CoreAudio の動作をします。Zoom 等のモノラルアプリを使用して内部の信号が勝手にループしている場合は、macOS 上のサウンド設定から Antelope Audio デバイスを選択しないことを 強く推奨 します。(Zoom は有料プランでステレオ入力が可能。その他ステレオ入力が扱えるアプリでは問題となりません。)

アプリケーションのセキュリティ設定を通過してください。

セキュリティでマイクの動作をロックされている場合はマイクの入力ができませんので、Windows、または macOS のプライバシー設定をご確認ください。

非常に多いトラブルの原因です。必ず該当のアプリケーションがマイクの利用を OS 側で許可しているか確認してください。

サンプルレートの同期に注意してください。

例えば、DAW では 96kHz で作業していて、WEB ブラウザで動画を再生するとき、OS 側の動作周波数が 44.1kHz だった場合、再生できません。OS 側の動作周波数と DAW のサンプルレートは統一してください。本体の Sample rate から合わせることも出来ますが、USB で固定されている場合は以下を参照してください。

Windows の場合

コントロールパネルの [サウンド] から Antelope デバイスを選択し、

動作サンプルレートが一致する項目を選択してください。

※ このとき、2ch 以上を選択しないでください。基本的にアプリケーションがマルチチャンネルをサポートしていません。音が出力されない原因になります。

⚠ 高度な情報: USB Driver 4.86 以上を利用できるデバイスの場合、マルチチャンネル WDM がサポートされました。これにより Windows Audio の再生チャンネルに自由度が生まれました。COMP PLAY 1-2 以外からも Windows Audio (OS の音) を出力することが出来ます。また入力チャンネルも 3-8 ch が選択できるようになりました。

macOS の場合

Finder の [移動] → [ユーティリティ] から [Audio MIDI 設定] を起動して、該当デバイスの動作周波数をあわせてください。

高度な設定 (Windows)

複数のアプリケーションやデバイスの音を扱う

複数のチャンネル信号を DAW 以外のアプリケーションで扱える可能性があります。

VB-Audio の VoiceMeeter (Banana, Potato) の利用を推奨します。フリーウェアですがご利用になる方は 是非、寄付をしましょう

ここでは Zen Tour を使って説明します。

VB-Audio VoiceMeeter、Banana or Potato 推奨。

ここでは Zen Tour にマイクを繋ぎ、USB Rec 1 にルーティングしています。ちなみにギターをつないで AFX でアンプシミュレーターをかけた信号 AFX OUTUSB Rec 1 にルーティングすればアンプシュミレータ後の音がこのミキサー上に流れます。(マイク信号はミキサー上で Mono に変換しています)

VB-Audio 上で Antelope デバイスを選択する場合は MME を選択してください。

PC-Audio (例えば WEB ブラウザ上の Youtube 等の音声や iTunes などの信号) は VoiceMeeter Input に設定しています。

これは Windows のサウンドから選択してください。

DAW の信号は VoiceMeeter AUX を使用して VoiceMeeter のミキサー上に送っています。

DAW 上で AUX Virtual を選択する。

VoiceMeeter 上でまとめられた信号は VoiceMeeter Output に出力されます。

これを各アプリケーションの入力デバイスに設定すれば完了です。

例えば OBS ではここで VoiceMeeter Output を選択するだけ。

Antelope デバイス内部ですべて完結する

VoiceMeeter を仮想アウトのみに使用し、Zen Tour の内部ミキサーにまとめて最後に VoiceMeeter Output を配信アプリケーションに設定してもいいです。

その場合、PC-Audio を Zen Tour に設定して USB Play 1-2 を内部ミキサーにルーティング、DAW の信号は USB Play 3-4 に出力させて内部ミキサーにルーティング、最後にマイクやギター、AFX OUT を内部ミキサーにルーティングしたら Mix L/RUSB Rec 1-2 にルーティングするだけです。(このとき Hardware Output を ZenTour に設定している場合は Zen Tour の信号は A ch に送らないでください。フィードバックします。B ch が Virtual なアウトプット信号になります。)

音がフィードバック (ループ) してしまう

デバイスの信号がミキサーを通って、またデバイスに戻ってきているためです。VoiceMeeter の Hardware Output と PC-Audio のデバイスを一緒にしないでください。

または、入力デバイスの A ch を無効にしてください。

音が鳴らない、DAW の音が止まる。

サンプルレートの一致は非常に重要なことです。

例えば、Windows オーディオの設定が 44.1kHz で DAW が 48kHz で動作している場合は、音がなりません。必ず動作周波数は一致させましょう。

DAW には ASIO ドライバーを開放する機能があります。

DAW がドライバを開放する場合、アプリケーションを切り替えた時点で音が止まることがあります。開放する機能は OFF にしましょう。

DAW によってはマルチで ASIO をコントロールできないので、その場合は DAW を変更するしかありません。

DAW 以外のアプリケーションで ASIO Driver を使う

さらに高度な利用方法

現在、Skype や Discord、Zoom などでは Antelope Audio の Windows Audio のドライバーは認識され、信号の入出力を確認していますが、稀にアプリケーション側で Windows Audio ドライバーを読み込みしない場合があります。また、稀に ASIO Driver を読み込まない DAW 以外の ASIO ドライバー対応アプリケーションもございます。(これはドライバーの問題ではなく、アプリケーション側の対応問題です。)

この場合、ASIO4ALL を利用して WDM Driver 経由の信号をアプリケーションに読み込ませるなど、サードパーティ ASIO ツールを利用することでデバイスの信号をアプリケーションで利用できる可能性があります。

OBS Studio は Windows Audio ドライバーを読み込んでも、多チャンネルドライバーのため正常に信号を OBS 上に認識しないことが知られています。(これはアプリケーション側の対応問題で Antelope Audio のドライバーの問題ではありません。)

一例: OBS Studio で ASIO Driver を読み込ませる

多チャンネルの I/O ドライバを読み込まないことは Windows アプリケーションではよくあることで、このため ASIO4ALL や OBS ASIO という、有志が制作しているサードパーティツールがあります。OBS ASIO に関してのインストールや利用方法は Github や日本語で解説されているページを別途ご参考ください。

OBS ASIO は Antelope Audio の ASIO Driver を読み込んでいることを確認しました。

Mono または Stereo の利用が可能ですが、ASIO Input Capture は複数立ち上げることが可能です。つまりマルチでチャンネルを OBS 上で扱うことも可能です。これを利用して DAW や Windows Audio の信号を無理やり OBS 上にルーティングすることが可能です。

Window Audio Driver と ASIO Driver は全く別の信号を扱います。またそれぞれ異なったアプリケーション上で動作します。しかし、製品ハード上ではそれぞれのドライバーから受け取った信号には区別はなく、ルーティングさえ工夫すれば Windows Audio 上で発声している信号を ASIO Driver に流し込む事が可能です。製品を複雑に応用的に利用することが出来る場合、通常では利用できない用途も可能になります。

以下の画像はその一例です。黄色く囲った部分は マイクからの直接の信号 DAW 上 (ASIO) で再生している信号Youtube 上 (Windows Audio) で再生している信号、それぞれの信号を OBS 上で認識しています。

これはマイクの信号を OBS ASIO 経由で 5ch (Mono) で入力、デスクトップ音声は 1-2ch (Stereo) を経由して入力、DAW の信号は 3-4ch にマスターアウトさせて OBS に入力しています。

それぞれ、Discrete Series の EasyPanel の場合であれば、Record 1-2 には Computer Play 1-2 を、Record 3-4 に Computer Play 3-4Record 5Preamp 1 (マイクの入力) をルーティングしています。もちろん AFX をリアルタイムで利用できます。

その他のコントロールパネルデバイスの場合は内部ミキサー (Mix 1 から 4 のいずれか) に信号をまとめてレコードチャンネル (USB REC / TB REC / COMP REC) に流して OBS ASIO 経由でステレオ入力させれば簡単にマルチチャンネルの利用が出来ます。もちろん AFX IN / OUT のチャンネルの利用すればリアルタイムでエフェクトを利用できます。

マイクやラインの信号を増やせば、中型のスプリットミキサーを必要とせず、なおかつ、内部エフェクトを利用したレベルの高いライブセッションを配信することすら可能になります。これは業務用途で利用するレベルの高い自由度と拡張性を確保できるため、小規模から中規模単位の配信業者にもおすすめのセッティングとなります。

※ 必ず複数のアプリケーションを利用する場合はサンプルレートの同期をしっかりと行ってください。再生が成功しない原因になります。