FPGA FX の利点
Antelope Audio の FPGA FX はリアルタイムプロセッシングに向いています。現段階では高負荷のネイティブプラグインはレイテンシがあり、掛け取りを利用することは高度なシステムを導入しない限り困難です。FPGA FX は 10 sample 以下 (FET-76A で実測) というレイテンシを実現しており、サンプルレートが上昇するたびに実時間が短縮されます。リアルタイムで 0.1 ms 以下のレイテンシは 人間では知覚できません。また FPGA による高度なルーティングが可能なおかげで、プロセスされた音をモニターに、実際のドライシグナルは DAW へレコードする、などのフレキシブルな録音形態を取ることができます。
FPGA FX の実践的な使い方
これらのエフェクトは掛け取り、モニター作成用途に使われるのが一般的です。実際のレコーディング現場ではアナログプロセスをすることが一般的でそれらを FPGA FX で行うことが一番の使用理由になります。また、業務用コンソールを利用したレコーディングの進行として、モニター用のシグナルとレコーディング用のシグナルは必ずしも同じではありません。レコーディングされている信号とは別にモニター環境を構築する上で FPGA FX でエフェクト処理させるという用途が実践的です。(業務用コンソールではレコーディングシグナルは DRY のまま DAW に送り、モニターシグナルにアナログプロセッシングをするということができます。)
または、実際のアナログデバイスのような使い方 (ハードウェアインサート) が一般的です。概念は業務用コンソールの Insert 回路を利用することと同じで、SEND-RETURN のシグナルフローを利用して、DAW と FPGA FX を連携利用していきます。(内部的に DAW 出力を FPGA FX にセンド、FPGA FX のリターンをまた DAW に戻す手順を実行するだけです。)
FPGA FX は本物のビンテージアナログデバイスと同じ様な振る舞いをするため、実際のビンテージ機材に存在する、音の太さや抜けの良さなど、デジタルエフェクトでは再現出来なかったあらゆるビンテージ機材に存在する魔法のような効果を再現しています。これらの効果を追加するためにしようされることが多いでしょう。
FPGA FX の処理と DAW の処理は別物です。
FPGA FX はインターフェイス上で処理されるエフェクトであり、DAW を経由した場合、そのレイテンシは DAW とコンピュータの能力依存になります。FPGA の速度を有効活用するためには、Thuderbolt 接続でバッファサイズを最小限にするか、モニターする信号とレコーディングする信号を分けることをオススメ致します。
また、コンピュータと完全に独立している構造のため、DAW のレンダリング機能とは併用はできません。プラグインと同じ様にオフラインバウンス、レンダリングが出来ると勘違いしがちですが、FPGA FX はデジタルハードウェアエフェクトであり、ソフトウェアエフェクトではありませんのでご注意ください。
完全に DAW とは独立している 外部デジタルハードウェアエフェクト であるということを強く認識してください。