ここでは簡単なデバイスの操作の豆知識や得られる情報からどのように判断するか、という「トラブルシュートや使い方」ではなく、自身がどのようにデバイスを利用していくか、のヒントになるような情報を公開していきます。

基本操作を マニュアル で確認しつつ、一般的なオーディオ信号に関連する事象を踏まえ、以下をご確認頂くようにお願い致します。

また、Getting Stared の 日本語案内はこちら にあります。(現在 Zen Go SC のみ)

各製品の主な機能についての解説動画 (英語)

プレイリストにはそれぞれの製品のチュートリアル的な使い方が解説されています。

コントロールパネルの見方

コントロールパネルは情報の宝庫です。

コントロールパネルの情報を読み解くことで、デバイスは今どのような状況で動作しているのか、を理解できます。

現在、このデバイスは Clock Source が USB で、サンプルレートは 48 kHz で 固定 (LOCK) されていることがわかります。

この事実から以下の内容が読み取れます。

  • デバイスは USB で コンピュータと接続 されている
  • オーディオドライバは 48kHz で動作している アプリケーションで制御 され、ロックされている

この情報は非常に有益なものとなります。

例えば、複数のアプリケーションを起動し、且つ、バラバラのサンプルレートで動作させていた場合に、このオーディオデバイスのドライバは 48 kHz で動作しているアプリケーションに追従していることがわかります。

もちろん、通常はドライバの開放は常に行われる (これはアプリケーションの設定でそうではない場合も多々ある) のですが、ドライバが開放状態である場合には以下の表示になります。

Clock Source は USB では固定されていない (グレーアウトしていない) サンプルレートは Not available (利用不可) そして LOCK ライトは不点灯です。

この場合、デバイスはいかなるアプリケーションからも開放されているという表記になります。

クロックソースやサンプルレート関連のトラブルシュートはこちら

この情報がなんの役に立つのか?

この情報は、コンピュータ音声が再生されない場合に、確認する一つの項目になります。音声の再生に問題がある場合、クロックの同期、つまりサンプルレートの同期が取れていないことによる問題がかなり大半を占めます。

また、アプリケーションによってはドライバを開放せず、専有し続ける場合、ドライバの競合が起こり、音声の再生が行われない、または音が出力されない原因となります。ドライバは任意での開放はできなく、アプリケーションの動作に追従するため、このドライバの開放を確認することをは非常に重要な場合があります。

また、ASIO ドライバーの場合、詳細ステータスを確認する ことができるデバイスもあるため、ドライバーやデバイスの監視は非常に重要になります。

※ Windows の場合 ASIO ドライバで動くアプリと Windows Audio で動作するアプリや WASAPI で動作するアプリが混在しているため、非常に動作がややこしくなる場合があります。ユーザーはアプリケーションの動作をしっかりと把握することをオススメ致します。

例えば、この設定は「CoreAudio を使っていない時はドライバを開放する」という意味の設定です。これにチェックが入っていないと複数のアプリケーションを相互に同じデバイスで利用するときに問題に遭遇することがあります。

複数のアプリケーション間でサンプルレートの同期を行っている場合には、あまり問題になったりはしませんが、サンプルレート制御がアプリケーションごとに異なっている場合は絶対に確認すべき機能です。

これはデバイス側で制御はできないので、ユーザーは利用するアプリケーションの動作をしっかりと理解することをオススメ致します。

ヒント: もちろん、他のアプリケーションの干渉を避けたい場合、アプリケーションを安定的に利用したい場合にはこのオプションを無効にして利用することで一つのアプリケーションのリアルタイム再生を安定的に利用する事ができます。

各種インジゲータ

これらはレコーディングにおいて非常に大切な選択項目です。

デバイスに信号を入出力するときにこのインジゲータを理解し、デバイスを利用することを 強くオススメ 致します。

アナログのオーディオ信号を扱う場合、使い方や入出力方法を間違えてしまうと、デバイスや外部機器のポテンシャルを十分に発揮できなく「このデバイスは使えない」なんて評価を受けるの原因になることはしばしばあります。間違った方法で使うこと自体は問題ではありませんが、用意されている機能を利用して、適切な手順で利用されるほうが、デバイスの価値を感じ取れます。これは Antelope Audio 製品に限らず、全てのオーディオ機器共通のお話です。

Preamp セクション

Mic / Line / Hi-Z の入力切り替えは非常に大切です。これらを理解できないと、信号を正しく入出力できません。

これは Preamp の入力セクションで選択できます。(本体側でも制御できる機器あり)

例えば Discrete 4 SC などの Easy Panel の場合、マイクは  のアイコン、ラインは のアイコン、Hi-Z は のアイコンになります。

ここでは Mic / Line / Hi-Z の詳しい解説は行いません。ただし、信号入力に関しては マニュアル をご確認頂くか、各種解説サイトをお読み頂くことを強く推奨致します。

note のページ少しまとめていますので、ご確認ください。


しかし、入力される信号が「やけにレベルが高すぎる、低すぎる、音質が悪いように感じる」など違和感がある場合は入力設定が間違っていると思って信号の入出力を確認してください。特に信号の種類やケーブル端子の種類を十分にご確認頂くことを強く推奨致します。適切な選択ではない場合、信号の入出力で問題が発生致します。

⚠ 必ず、別の機器を併用して利用する場合、別のデバイスの説明書やマニュアルをよみ、適切な接続方法を確認することを強く推奨致します。外部デバイスが指示する接続方法以外を選択するとその外部デバイスの真価を発揮できない恐れがあります。

また、重要なのは 48V のボタンとレベルメータです。

48V

マイクの種類によっては 48VDC の電圧を掛ける必要があるマイクが存在します。これは絶対に利用しているマイクの説明書で確認してください

⚠ 最悪、マイクの破損やスピーカーの破損に繋がる重要な問題に絡みますので、48V の扱いには十分にご注意ください。ケーブルとマイクをつないでから有効にし、使い終わったら 48V を無効にしてからマイクとケーブルを切り離してください。マイクや周辺機器が壊れる原因となる場合があります。

ちなみに、48V のボタンが有効にならない場合は「⌘ + クリック」か「Ctrl + クリック」を実行してください。

また、48V や 📎 のリンクボタンが無効にできない場合は Mic Emulation の機能を完全に OFF にしてください。マイクエミュレーション機能は誤動作防止のため、いくつかのコントロールオプションをロック状態にします。

レベルメーター

入力される信号を確認できます。入力される信号のレベルの既定値の意見は様々であり、-6dB くらい振れるほうが良い、という意見や、-10dB 程度がいい、はたまた -20dB あれば十分、という様々な意見があります。Antelope Audio でも既定値なるものは存在しませんが、 絶対に 0dB を超えないように調整してください。制作のセオリーとして、それだけは守りましょう。

マイクエミュレーション

一部のマイクプリアンプ搭載デバイスにはマイクエミュレーション機能があります。

これは、エミュレーションマイクを購入した方のみの機能で、詳しい解説や使い方、利用方法の手引は以下のページで解説されています。

詳細はこちら

AFX

もし、エフェクトを有効的に活用したい場合はルーティングを覚える必要があります

AFX (FPGA FX / Synergy Core FX) は非常に高度な設計形態を持つエフェクトライブラリです。

これを積極的に有効活用したいユーザーは以下のページを熟読し、FPGA の動作概念や利用方法を理解する必要があります。

詳しくはこちら

Antelope Audio Japan ではエフェクトのよくある設定、のような案内はしておりません。何故かというとエフェクトの設定というのはメーカーが「このように設定してください」とご案内すると、ユーザーへのクリエイティビティに悪影響を与える恐れがあるからです。エフェクトの使い方に正解はありません。ユーザー側への自由度に干渉することは良くないと考えています。

⚠ デジタル領域でピークを発生させない

AFX を利用していくと「いい音で聞きたい、録音したい」という気持ちがはやり、AFX での出力音量が大きくなり、メーターで Peak が発生することが多分にあります。これは一般的にはあまり良くない状況です。

もちろん、信号の過大入力や出力の影響を受け、エミュレーション上でもアナログ歪感とデジタル歪が発生し、それが音楽的にいい影響を与えることもしばしばあります。しかし、あくまでエフェクトはハードウェアデジタル処理であるため、一般的なフロート処理のソフトウェアエフェクトとはまた違った扱いになります。

決め打ちでピークありきのデータを録音するのかは各利用者の判断になりますが、基本的には DAW 等レコーダーに録音される信号にはピークが絶対に発生しないように心がけてください。

⚠ 一部の AFX は 0 dBFS 以上の信号が入出力される場合に、ノイズの原因や正常動作しない原因になる場合があります。不自然なノイズやクラック音を感じた場合は AFX の設定や入出力レベルを見直してください。

内部ミキサー

Easy Panel の場合

Easy Panel を採用した製品群の場合、基本的にデバイスに入出力される信号はすべて内部ミキサーに一度立ち上がります。

内部ミキサーに立ち上げる信号を管理するのが モニターのルーティングセクション です。(デバイスによってモニターセクションの動作範囲は異なります)

ヒント: 使わない信号はミキサー上で邪魔になったり識別のために把握しづらくなるため、MUTE することを強くオススメします。ここで言うなら S/PDIF や EMU MIC は使用頻度として低い、または使わない場合、識別の邪魔になるのでルーティングのオプションから MUTE を選択する。

例えば Zen Go SC の場合、Monitor / HP1  はミキサー部分は共有しており、最終的に出力される信号は同じです。(ただし、モニターレベルは個別で制御可能)

Easy Panel の場合、左端のミキサーネームを把握し、自分は今どのモニターアウトの出力ミキサーを操作しているか、を把握することが大事で、操作対象を間違えないようにすることが大切です。(別の出力ミキサーを操作していた、ということはよくあることです。)

また、ミキサーに信号をルーティングしたとしてもフェーダーが上がりきっていない場合は信号は出力先へ出力されません。内部ミキサーは最終的に左端の名前の出力先へ信号がアナログ出力されますが、ルーティングしただけでは信号は各モニター系統へ出力されません。ミキサー上で信号のレベルを管理して、初めて出力されます。

Easy Panel や Control Panel の設計利点

Easy Panel は基本的に自身がモニターしている音が DAW 等のレコードチャンネルと紐付けられており、DAW 上で Input を設定するだけで音が入力される設計をしています。上位機種に採用されている Control Panel 仕様の場合、プレイチャンネルもレコードチャンネルも全てがセパレートに設定できるため、聞いている音や自分が選択しているつもりの音であっても入力出力が実際には DAW と連携できていない、アナログ出力になにも出力されない、ということが起こります。


Easy Panel の場合はミキサーチャンネルの番号とレコードチャンネルが一致しています。これは物理的に視聴できるチャンネルは DAW と連携していますよ、という動作になります。またミキサーに立ち上げる信号は任意で自由に割り当てできるため、立ち上げる信号の自由度は非常に高いです。この部分はインラインコンソールの自由な信号ルーティングの知識がないと初見では理解は難しいので解説動画をご確認頂くことを強く推奨いたします。

上位機種に採用されている Control Panel は非常に複雑な信号経路も構築可能ですが、これは完全にルーティングパッチベイの概念を深く理解しているユーザー以外、とてもハードルが高くなります。慣れてしまえば問題ありませんが、Easy Panel はそのようなことがないように、(ユーザー側で管理できるチャンネルをある程度制限することで) 自身のモニターしている信号は DAW の Record チャンネルに自動的に流れるような設計をしており、ユーザー側での指定手順を簡略化し、かつ信号の入出力間違いが起きにくいように設計しているパネルとなります。

Easy Panel を採用している製品は確かに込み入った複雑なことはできない設計ですが、できないなりに、簡略化された信号経路が構築されており、視覚的、直感的には上位機種よりも、かなりわかりやすい設計になっています。Control Panel 製品は学習コストが高めですが、ルーティングに対する抵抗がない場合は設定は非常に容易に感じます。しかし、そうではないユーザーにとってはルーティングで利用を諦める方も少なからずいるのは事実です。


ミキサー上のルーティング次第で DAW と連携して AFX をプラグインの様に利用できます (Hardware Insert)。ミキサー上で DAW 出力を AFX で処理したあとは Record チャンネルに戻るので DAW 側でインプットするだけです。ルーティングが変化した影響が出ないように Preamp 1-2 と Computer Play 1-2 を別のミキサーチャンネルに立ち上げています。

もちろん、動画や各ページ、マニュアルなどで具体的な応用例等を交え、解説していますが、ルーティングに対する抵抗は各個人によって様々です。これが簡単だと感じるか、非常に面倒でユーザー側で設定させる必要性が理解できないかは、各個人の感想によります。重要なのは理解に対するモチベーションだと思います。

もし、自身が複雑なことを自由にやりたい、という場合は、現行の Discrete Series や Zen GO SC ではなく、Zen Tour SC や Orion Studio SC、またはその他多チャンネルの上位機種をご購入することを強く推奨致します (Pure2 や AMÁRI は異なる)。製品はユーザーのレベルや使用用途に合わせてライナップされているので、自身の利用法にあったデバイスを選択することは非常に大事なことになります。

各内部ミキサーの大きな概念

内部ミキサーは「複数の信号をまとめてマスターへ出力する」という動作をします。名前がミキサーなので「混ぜる」という意味合いで使うものです。「複数の音を混ぜて一箇所へ出力するためのもの」と考えて結構です。

これは、初心者の方にとっては「なぜこんな回りくどい設計なのか」理解に最初は苦しむかもしれません。しかし、このミキサーというのはモニター環境を構築する上で非常に有用です。あまり自由度のないデバイスの場合、複数の信号をデバイスに入力させても (もしくはそれ自体が不可能の場合) デバイス上で信号の管理ができず、DAW やその他のレコードアプリを使用する必要があります。通常はそれだけでも問題ないかもしれませんが、モニター環境を構築する上で「複数の信号を自由にミキサー上で各出力に割り当てて操れる」というのは非常に有用になります。

全員が同じ信号を聞きたい場合は、同じ信号を聞かせるようなモニター環境で構いませんが、例えばエンジニアはスピーカーで視聴し、プレイヤーはヘッドフォンで演奏しているとき、これが同じ音をモニターしながらレコーディングする場合、非効率的であるシチュエーションがあります。

もしかすると、プレイヤーはもっと大きくクリックを聞きたい可能性があっても、エンジニア側でモニター (音の監視) にとってクリックが邪魔になり音量を下げた場合、それがプレイヤーのモニターにも影響します。しっかりとリズムを確認して演奏したい場合は、エンジニアの操作が影響してプレイアビリティに影響が出る恐れが容易に想像できます。

このように、各ミキサーで各信号を管理できる理由はモニター環境を自由に変えられる利点が存在するからです。確かに面倒だと感じる場合も多々あるかもしれませんが、ミキサーの概念を少しだけ理解すると、少しこの機能のありがたみが理解できるかもしれません。

「何故、このようなシステムを採用しているか?」と言われれば、ユーザーのエクスペリエンス向上のためであり、マニュアル等では深くは語られませんが、モニター環境を複数構築するための内部ミキサー (メインモニター用やヘッドフォン用で別れている理由) はそれぞれのモニター環境をセパレートで構築するためのもの。と解釈してください。

もちろんミキサーの自由度が高いことにより、より応用的な利用方法や信号管理の方法が考えられますが、非常に自由度が高いため、それ自体は各ユーザーに使い方というのは任せています。上記に記載しているのはあくまで一例です。

コントロールパネル (Easy Panel ではない) の場合

さらに複雑なルーティングが可能な上位機種は内部ミキサー自体も独立しています。Easy Panel 製品は出力の前段にミキサーがあるのに対してコントロールパネル採用製品はミキサーすら別系統で用意されています。これらはより複雑な信号形態を構築したい方向けのものとなります。すべての入出力に対して入出力先を指定できるのが上位機種の強みです。

上位機種は 32ch 仕様の内部ミキサーを複数構築でき、そのアウトすら、自身の好きな出力へ割り当てることが可能です。(上記はミキサー自体はすべて信号を Mute 状態にしています。)

ルーティング画面上で Control + Click か 右クリックをすると上記のメニューが表示され、選択したチャンネルを Mute もしくは、選択した出力すべてを Mute (Mute Row をクリックして) にできます。

内部に 32ch のミキサーが用意されており、ルーティングした信号を内部ミキサー上に立ち上げて、最終マスターに出力される信号を好きな出力、または入力にルーティングできる。

各ミキサーの出力は個別に割り当てられており、任意の出力へルーティングできます。上位機種は複雑な信号経路を組むことができるため、もっと深い理解が必要になる場合がありますが、ルーティングの解説動画等で 9 割方は理解できると思います。

Easy Panel の各種ルーティング

ミキサー画面にはセクション選択項目があります。

Monitors and Headphone は内部ミキサーの項目、Digital Outs はデジタル出力系統の項目、Analog Outs はアナログ出力系統の項目、DAW (DAW I/O) は DAW と連携するためのメーターセクション並びにルーティングセクション。

デジタルアウトの場合

デジタルアウトの信号の設定ができます。Easy Panel のミキサールーティングと同じで、出力したい信号を選択するだけです。

デバイスに入力されている A1 と A2 の信号を S/PDIF 1-2 へ出力しているという意味のルーティング。

アナログアウトの場合

上記のルーティングは Line Out 1-4 に A1-4 に入力されている信号をそのまま出力させるという意味。(Easy Panel の場合 AFX Out の設定がないのでプリ直をアウト)

コントロールパネル (Easy Panel ではない) の場合

入力、出力される信号はすべて自分の好きなようにルーティングで設定できます。上位機種にはセクション分けはなく、すべての入出力が一画面で管理できます。詳しくは動画等の解説をご覧ください。

上記のルーティングは S/PDIF の出力に Computer Play 1-2 を割り当て、ADAT には Preamp 1-12 と Computer Play 1-4 をそれぞれ ADAT Out 1-12 と 13-16 に割当している。

 

すべての入出力をマトリックス表示管理も可能です。

DAW I/O の概念

これはデバイスと DAW の I/O 概念を理解する必要があります。

From DAWTo DAW という表記はそのままの意味です。DAW からやってくる音と、DAW に行く音です。言い換えれば From DAW が Computer Play、To DAW が DAW Input です。

Easy Panel における Record 1-8 (機種により最大 32 まで) は DAW の I/O セッティングとリンクします。

これは DAW における I/O Setting の項目も同時に理解する必要があります。

少し高度なヒント: 概念的に奇妙に思うのが、Zen Go Synergy Core のオーディオセッティング。DAW は 16in/16out のデバイスだと認識する。確かに Zen Go SC は内部的には 16in/16out の構造をしているが、実際に扱える物理的な信号は 4in/8out 設計である。内部ミキサーは 16ch 扱えるのを思い出してほしい。内部のデジタルミキサーを制御するということは実際には 16 のデジタル構造を備える。しかし、コンピュータが表面的に扱えるのは 8in/8out。このあたりは非常に理解が難しい (4in/8out でもあるし 8in/8out でもあるし 16in/16out でもある) 部分なので物理的な I/O と内部的な I/O の違いを見ていると理解しよう。

DAW は I/O のセッティングを行わないと信号の入出力ができない。下記の図の通りに信号の割り当てを行った。(デバイスと DAW の連携)

横の Input 1-16 が Zen Go Synergy Core の物理的な入力のチャンネル、縦の Input 1-16 が DAW の入力チャンネルを表示しています。

⚠ この 9-16 チャンネルは Zen GO SC の内部的なもので、現状は扱えないことを再度注意すること。(他のデバイスは動作が異なることに注意)

赤のラインに注目してください。Zen Go Synergy Core の Input 5 が DAW の Input 5 と同じですよ、という設定になっています。(Zen Go SC の Record 1-8 は DAW 上の表記 Input 1-8 と同じ意味)

デバイスと DAW の連携を考えている場合、この I/O の概念は Antelope Audio デバイスに限ったことではなく、すべてのオーディオデバイス共通の I/O Setting の概念であることを忘れないでください。

上記の画面は DAW の Output 側の設定です。Zen Go SC の Output 1-8というのは Computer Play 1-8 と同義です。

Zen Go Synergy Core は Computer Play 1-8 しかありませんが、内部的には 16 out を読み込んでいます。この違いは物理的な I/O と内部的な I/O の違いを見ていると考えましょう。

コントロールパネル (上位機種) の場合

上位機種の場合 COMP PLAYCOMP REC としてそれぞれ名前が割り当てられています。

COMP PLAY は Computer Play の略称で、DAW Output 1-32 に該当するチャンネルになります。(または 1-24 ch)

COMP REC は Computer Record の略称で、DAW Input の 1-32 に該当するチャンネルになります。(または 1-24 ch)

この関係性は Easy Panel も上位機種のコントロールパネルも同一となります。

Advanced Setup

各種 DAW のセットアップ方法解説 (英語)

Easy Panel のミキサーフェーダの概念

フェーダは内部ミキサーの出力に影響します。

また、フェーダー上の Peak Meter は AFX 後の信号レベルを表示しています。(録音される直前の信号) 録音レベルは必ず、0 dBFS 以下になるように努めてください。

Pan や Solo、Mute、Link に関してはマニュアルでご確認ください。

例えば、演奏をするときにクリックは右耳で聞こえるのがいいけど、自分の演奏や声は左耳だけで聞きたい、というシチュエーションがあった場合

  • 単独でクリックの音をミキサー上に返します。例えば Computer Play 3 にクリックを返す。(DAW 上では Output 3)
    そしてクリックを立ち上げたミキサー (Computer Play 3 をルーティング) は Pan を右に振り切る。
  • 自身の声をダイレクトモニタリングするか、DAW 帰りを聞くか、両方聞くか選択できますが、
    例えば Preamp 1 が歌っている信号だと仮定し、フェーダを上げて Pan を左に振り切る。
    または、Computer Play 4 のチャンネルに歌の信号を単独で返して Pan を左に振り切る。

という設定をすることができます。こうすることで演奏者が歌いやすいと感じるモニター構築に役立ちます。DAW 側の AUX チャンネルや SEND チャンネルを利用して単独のチャンネルを作ることはモニター環境構築にとって非常にセオリーな方法です。是非、利用してみましょう。

Easy Panel 製品の場合、ミキサーと DAW I/O はルーティング自体は共通のセクションですが、入力、出力される信号自体に関連性はありません。DAW I/O の Record チャンネルと Play チャンネルの監視のために利用できます。

ヒント: Panning の詳細設定として、Antelope Audio デバイスの Settings の項目に Panning Law の設定項目があります。必要に応じてこの値を利用しやすい値へ変更し、モニタリングの環境構築に役立ててください。

補足:
上位機種の Control Panel 場合は、内部ミキサーは完全に独立しているので、ミキサーのピークメーターは内部ミキサーのみに干渉します。(REC チャンネルには影響ない)

ルーティングの応用方法

この機能は「必ず覚えるべき」最初の関門です。

ルーティングは製品に様々な恩恵を与えてくれる素晴らしい機能の一つです。

例えば、上記のルーティングと AFX の設定の場合、Preamp 1 から入力される信号は Record 1 に入力されています。Record 2 に該当する信号は Preamp 1 の信号が EMU MIC 1 でマイクモデリングが適応され、さらに AFX を通過して (エフェクト処理されて) DAW へ入力されています。それぞれ、DAW におけるチャンネルは Input 1 と 2 です。

DAW 上で、Input 1 と 2 をそれぞれレコードすると、Input 1 のチャンネルには AFX も エミュレーションマイクも 適当されていない信号 が録音され、Input 2 には、マイクエミュレーションも AFX も 適応された信号 が録音されます。ルーティングを駆使することで、同じソース元の信号をスプリットし、同じソース元だが異なる処理がされた信号をそれぞれ別のトラックに同時にレコーディングすることができます。

これが、ルーティングを利用し、応用的なレコーディングシステムを構築できる一例です。

この Record 1 と 2 の結果は、純粋なマイクからのドライ信号と、マイクエミュレーションと AFX で処理された信号がそれぞれ DAW 上で別トラックごとにレコードできます。ドライの信号は後から適応するマイクエミュレーションをプラグイン経由で変更できますし、レコーディング後でも EQ やコンプの設定をやり直しできます。(マイクエミュレーションの詳しい情報は 別ページで解説 しています。)

また、通常のアナログ機器や (安価な) デジタル機器では不可能な「同じ信号をスプリットしてミキサー上に立ち上げる」という操作が可能です。これは実はモニター構築には非常に有用になる場合があり、どうしても信号を増幅できない場合は、同じ信号を複数ミキサー上に立ち上げて、ゲインを 2倍 稼ぐというような、ちょっとした離れ業みたいなことも簡単に行なえます。

高度なヒント: モニターする信号 レコードされる信号 は別に 一緒ではなくて良い のです。ですからモニター用にしっかりとコンプや EQ を使ってモニターしやすい音を作って演奏者に返す用に AFX を利用しつつ、録音している音は Dry や薄くエフェクトを掛けただけの信号を利用するということもできます。(これはプロの現場でもよく行われるモニターテクニックの一つです。)

上位機種の Control Panel 製品の場合

AFX OUT チャンネルや内部ミキサーチャンネルは完全にモニター構造とは独立しているため、演奏者に返す音や AFX OUT の音は完全に自由にルーティング出来るため、上記のような設定は必要ありません。内部ミキサーには EMU MIC 出力や AFX OUT の信号を割り当て、ドライの信号を DAW に録音するなど、すべてのルーティングが任意で設定できます。

AFX2DAW を利用しないでエフェクトを DAW と連携する

Zen Go SC や Discrete Series は、「DAW 上ではエフェクトは使えない」という情報が散見しておりますが、これは真実ではありません。エフェクトはルーティング次第で AFX2DAW というブリッジソフトウェアプラグインを利用しなくても DAW と付属エフェクトは連携できます。(AFX はソフトウェアプラグインとして DAW 上に読み込むことはできないこと補足しておきます。)

先程の説明から「Easy Panel は任意の信号を内部ミキサー上に立ち上げることが出来る」と解説致しました。そして Easy Panel の 1-4ch または 1-8ch 上には AFX のエフェクトスタック領域があります。(AFX の同時処理数はデバイスにより数は異なる)

つまり、任意の信号、ここでは「DAW 上で再生している音」を内部ミキサー上の 1-4ch ないし 1-8ch にルーティングすれば、DAW でリアルタイム発声している信号が AFX スタックに立ち上がり、付属または追加購入分の Synery Core FX を DAW と連携して利用できます。内部ミキサーを通過した信号はそのまま Record 1-4 ないし 1-8 へ入力され DAW 上でモニターもできます。

これは DAW のハードウェアインサート機能を利用すれば DAW 側でもある程度の設定を簡略化し、かつ、エフェクト処理後の信号をモニターに返すことができます。

上記の画像のルーティングは DAW 上から Computer Play 3-6 にエフェクトを適応したい信号を出力させ、内部ミキサー上の 1-4ch 上にルーティングしエフェクトを適応、かつその処理後の信号を Record 1-4 に返して、DAW 上で Record 1-4 の信号も同時にモニタリング、最終的に DAW のメイン出力 (マスター) は Computer Play 1-2 から出力している状況 (内部ミキサー上では 7-8ch にルーティング) を表しています。ちなみに余っているチャンネル 5-6ch で Preamp 1-2 の信号も同時録音しています。

ルーティングの機能さえ把握してしまえば、自由に信号のやり取りをデバイスと DAW の間で行うことができます。これは文字だけでは理解が及ばない可能性は非常に高いため、動画解説も合わせてご確認頂くことを強く推奨致します。

再度の注意事項として Antelope Audio の提供している AFX は ハードウェアデジタルエフェクト であるため、通常のソフトウェアプラグインのような扱いをすることはできない ことを記載しておきます。また、これらの応用的な使い方を簡略化してくれる AFX2DAW というブリッジプラグインの開発を行っています。

AFX2DAW はこのようなルーティングを簡略化してくれるブリッジソフトウェアプラグインのことで、我々の Synery Core FX (AFX) は通常のソフトウェアプラグインとは、処理形態や構造は全く異なることを理解して、利用していくことが望まれます。詳しい解説は こちらのページ の動画と解説をご確認ください。

上位機種の Control Panel 製品の場合

上位機種に採用されている Control Panel は COMP PLAY や COMP REC、AFX OUT は独立しているので、DAW の再生信号はお好きなチャンネルに出力し、それを AFX IN へ入力、AFX OUT から出力される信号をまたお好きな COMP REC に戻すだけです。Hardware Insert チャンネルと設定を共有すれば、簡単に DAW のモニターチャンネルに AFX 処理後の信号を DAW のメインアウトから出力させることができます。

Easy Panel 製品での注意事項

Easy Panel の DAW I/O ルーティングで気をつけるべきはフィードバック現象です。フィードバック現象とは、同じ信号が内部でループを起こすと信号が無限大に増幅し「ピー」という強烈な「ハウり」と同じ現象が起きます。

上記のルーティングを見てみましょう。Computer Play 1-2 の信号が Record 5-6 へ再度ルーティングされている状況になります。Easy Panel 製品の場合、Computer Play をミキサー上に立ち上げると必然的に Record チャンネルへ信号がルーティングされる設計のため、以下を注意してください。

  • DAW のメインアウトは基本的に Computer Play 1-2 に設定されています。(変更は可能)
  • DAW 上で Input 5-6 を有効にするとComputer Play 1-2 で再生している信号は再度 DAW へ入力される。
  • もし Input 5-6 の信号の出力先が DAW の Output 1-2 つまり、Computer Play 1-2 だった場合信号が無限ループする。

このデジタル領域だけの信号ループには十分ご注意ください。

ルーティングを深く理解するためには解説動画をご確認ください。

これは製品の「最初の躓き」に対する解説も含む、ルーティングを理解する上で重要な動画です。

ハードウェアインサートは各 DAW の解説をご確認ください。

Logic X Pro – Apple 公式
Studio One – Google 検索
Cubase – Yamaha 公式
Pro Tools – 動画内で解説、Google 検索
Ableton Live – Ableton Live 公式解説

以下の動画はハードウェアインサートの手順について各 DAW 上で説明をしています。

例外: ループバック機能

Zen Go SC にはループバック機能が追加されました。(その他の Easy Panel デバイスの場合、自身でループバックを制作する必要があります。詳しくはこちら)

ループバックとは「内部ミキサーのマスターアウト信号を再度 Record チャンネルへ戻す」機能です。ちなみに、上位機種は ミキサーアウトを自由にルーティングできる ため、ループバックチャンネルの概念はありません。そもそも自分でループバックを形成できる設計です。詳しくはこちら

Zen Go SC のループバックチャンネルは DAW I/O のみでルーティング設定できます。忘れがちになるのが、ルーティング信号をミキサーに返したい、と考える人がいますが、それは信号理論的に不適格です。ミキサーアウトの信号をまたミキサーに立ち上げることはループバックではなく、フィードバックに該当します。

DAW I/O 側で LOOPBACK MON/HP1 を設定し、任意の Record チャンネルへミキサーアウトを入力させる機能です。ミキサー側へは返す必要はなく (というか返さない) Record チャンネルへミキサー出力をルーティングできるという機能です。

上位機種もルーティングを駆使すれば AuraVerb の信号を DAW に返すことは容易ですが、Zen GO SC でもミキサーの信号を下げ、AuraVerb のみの信号をループバックさせれば AuraVerb を内部ルーティングだけで利用することができます。(これはハードウェアリバーブの書き出しと同じ行為)

ループバックについては、利用するアプリケーションや OS で動作がかなり異なるので、詳しい利用方法をご確認したい方は以下の解説ページをご確認ください。

Antelope Audio デバイスを使って配信系ツールを利用する

デジタル端子の有効活用法

Antelope Audio デバイスがなぜデジタル端子を有しているか

一般的にデジタル端子を有効活用するシチュエーションは考えづらかったります。

例えば、Zen GO SC の場合、S/PDIF が利用できます。考え方としては以下の用途があります。

  • 外部デジタル機器と D/D 転送が行える。(S/PDIF to S/PDIF)
  • 外部機器との同期のために利用する。(スレイブ動作)
  • 外部機器のマスタークロックとして利用する

デジタル機器同士はクロックの同期が必要ですが、Zen GO SC がリファレンスとなって D/A するシチュエーションは限られます。特に外部からやってくる S/PDIF 信号は外部機器のクロックに準拠したデジタル信号のため、Zen GO SC は S/PDIF 信号のクロックリファレンスを利用して D/A する必要があります。

この場合は Zen GO SC が クロックリファレンスとはなりえません

では、どう利用すればいいのか?

先に S/PDIF Out から Zen GO SC のクロック信号を相手に受信させれば良いのです。

Zen GO SC の S/PDIF 端子は Zen GO SC のクロックをリファレンスとして利用するために使うデジタル端子なのです。

上記の状況では既に Zen GO SC のクロックリファレンスを利用して動作している外部デジタル機器からやってくる S/PDIF Out の信号を Zen GO SC の S/PDIF In で受けてるだけの構造となります。

S/PDIF ケーブルが 2 本準備できる場合は、先に外部デジタル機器のクロックリファレンスを Zen GO SC にしてしまえば D/D 転送において Zen GO SC のクロックを有効活用できるシチュエーションになります。

少しクロックについて知識があると「クロック同期はBNC 端子経由で行うもの」という感覚が先走りますが、BNC 端子以外でも賢くデジタル機器同士を繋ぐためにデジタル端子が用意されていると考えましょう。

デジタル端子は決して「デジタル信号を送受信するだけでのものではない」ということを理解できると非常に利用方法の幅が広がります。