シンセサイザーの世界に足を踏み入れたことがある人なら、楽器にこだわることの意味がご理解いただけると思います。それほどまでにシンセサイザーという楽器は、リアルタイムで表現と制御を可能にするエキサイティングなツールだからです。しかし同時に、そのノウハウをマスターするのが難しく、思い通りのサウンドを作り出すまでには長い道のりがあります。ですから、MIDI to CVコンバーターやルーティングハブ、スプリッターに資金を使い果たす前に、オーディオインターフェイスをどのように使用してCVが行えるのかを知っておくと、より多くのモジュレーションの可能性を探求する道に進むことができるかもしれません。高価なハードウェアをなかなか組み込めない方、貴重な機材をもっと活用したいという方は、Ableton公式で動作テスト済みのDCカップリング対応オーディオインターフェイス、Orion Studio Synergy Core をチェックしてみてください。
コントロールボルテージ(CV)とは?
外部シーケンサーがリズムパターンを作るためには、そのハードウェアの各モジュールが他のモジュールに接続されている必要があります。この接続は、音を出すためにコントロール可能な可変電圧の形で起こります。CV変調を許可しているCV互換性のあるシンセサイザーやドラムマシンが、楽器から得られる設定を決定します。例えば、ボリューム、ピッチ、フィルター、LFO(低周波発振)のレベルは、異なる電圧の伝達によって決定され、パッチケーブルを使用して、これらすべてを同時に制御することができます。
しかし、CVはどこから来るのでしょうか?モジュレーションとゲート(トリガー)という異なるタイプのCV信号は、あらゆる種類のCV出力源から来るものです。モジュラーやセミモジュラーシンセは互いにCVを送り合うことができ、キーボードコントローラやいくつかのペダルやシーケンサーもシンセに信号を送ることができます。この方法で創造的なサウンドを作り出すことができますが、もう一つの方法があります。
Reason StudiosのCV-O CV to AudioやAbleton LiveのCVツールのようなソフトウェアインストゥルメントの導入により、コンピュータからアウトボードのアナログシンセやシーケンサーにCVを送ること、またはその逆が可能になりました。この革新的な作業方法は、機材の使い方を刷新し、無限の可能性をもたらしました。モジュラーシンセを1台だけ持っている人にとってのもう一つの利点は、DAWで様々なサウンドを生成してから、より多くのハードウェア楽器やエフェクトでアップグレードできるようになることです。しかし、コンピュータからモジュラーシンセにCVを送るにはどうしたらいいのでしょうか?
シンセの世界におけるDCカップリングとは?
CV信号はアナログです。つまり、何らかの接続を行うにはアナログ信号のI/Oが必要になります。モジュラーシンセシスでは連続した超低周波の電圧を必要とするため、標準的なAC-カップリング接続ではその役割を果たすことができません。そこで、DCカップリングが活躍します。DCカップリング I/Oは、特定の電圧値を持続させることができるため、オーディオインターフェイスを介してシンセサイザーとコンピュータの間でCVを伝送することが可能となります。しかし、多くのオーディオインターフェイスはDCカップリングI/Oを持たないため、CVを扱うことができず、シンセをモジュレートさせることができません。
昨今、より多くのクリエイターがモジュラーシンセシスのすべての条件を満たすツールを求めています。そこで、DCカップリングインターフェイスとしてAbletonの動作テスト済のリストに載っているOrion Studio Synergy Coreです。DCカップリングの入力と出力の双方を搭載するデバイスは2機種しか知られていないのですが、このオーディオインターフェイスはそのうちの1つなのです。しかし、なぜ両方が必要なのでしょうか?
DCカップリング入力(プロオーディオの世界では非常にレア)は、Ableton LiveのCV ToolsのようなソフトウェアCV環境で、シンセからCVを受け取ることを可能にします。この機能とAntelope Routing Matrixとを組み合わせることで、CVルーティングハブを構築することができます。スプリッターまたはマルチプルとして動作し、入力から信号を受け取り、5つの出力に分割することができます。これはほんの一例ですので、その可能性はみなさんそれぞれ試してみてください。
インターフェイスのDCカップリングライン出力は、CVシーケンサーを必要としません。この機能により、DAWからインターフェイスの出力にCV/Gateを送信し、直接CV対応シンセサイザーを制御することができます。また、外部ハードウェアや外部16chミキサーで処理する場合でも、Antelope Audioの高品質のコンバーターにより、原音に忠実なサウンドを提供することができるというわけです。
Orion Studio Synergy Coreがアナログシンセサイザーのレコーディングに最適なインターフェイスである他の理由とは?
Orion Studio Synergy Coreは、CVの送受信を容易にするだけでなく、レコーディングやミキシングプロセスのあらゆる面を改善する機能を備えています。シンセ録音のクオリティーは様々な条件に左右されますが、ここではサウンドとワークフローを改善する可能性を秘めたインターフェイスの特徴を紹介します。
Direct-Inは、プリアンプの設計をバイパスし、プリアンプが信号に影響を与えることなく、Antelope AudioのADコンバーターに直接録音することができる機能です。ラインレベルの信号に対して一切色付けすることなく、透明度、明瞭度を保ちながら原音に忠実に録音することができます。
Direct Monitoringを利用して、スタジオの定番ハードウェアモデルのEQ、コンプレッサー、マイクプリアンプを使うことで、録音する際にサウンドを作り込んだ上で掛け録りすることが可能です。インターフェイスに搭載されている50種類のFXはすべてオンボードで処理されており、リアルタイムにモニターできるので、バッファサイズも下げることでき、DAWチャンネルも増やせ、CPUの負荷軽減が可能になります。
12基のディスクリート・ウルトラリニアマイクプリアンプ(DCカップリング)ですべてのシンセを接続し、DB25コネクタの2つのラインアウト(16チャンネル)からCVでコントロールすることができます。このような包括的な接続性により、既存のすべてのシンセサイザーと、今後登場してくる新しいシンセサイザーとを簡単に同居させることができるようになります。
Antelopeルーティングマトリクスは、ケーブリングの煩わしさをなくし、時間を節約することができます。信号の統合や分配が容易になり、CV信号を好きなソースにルーティングすることができます。モニターアウトのハイスペックなDACにサウンドをルーティングすれば、より広いヘッドルームとより低いノイズフロアでリスニングすることができます。
CV送受信を可能にするソフトウェアツールとOrion Studio Synergy Coreのようなオーディオインターフェイスがあれば、あなたのシンセ環境は確実に次のステージに引き上げられることがお分かりいただけたでしょうか。インターフェイスの詳細は製品ページで、Sound on Soundのレビューはこちらからご覧ください。