Antelope Audio のインターフェイスは他社製品にはない機能がたくさんあります。

その最たるものが ルーティング画面 です。このルーティング画面はプロのエンジニアにとって、とてもありがたい機能であると同時に、普段ルーティングなどせずに作業を行っている人にとっては、理解が若干難しく、なぜルーティングが必要なのか?戸惑ってしまうこともあるでしょう。

そこで今回、ルーティングについて Antelope Audio Japan は簡単な解説動画を作成致しました。

このルーティングを理解出来ると自分のシステムの増設や拡張を行いやすくなります。是非活用しましょう。

このルーティング画面はエンジニアにとっては、スタジオのパッチと等しいものと考えることができ、なおかつ、複数に信号をディストリビュートできることがアナログルーティングとの最大の違いでもあります。しかし、パッチを触った経験のない人にとっては、すこし難しい考えになります。

ルーティングの覚え方

以下の動画では、ルーティングを簡単に覚えられるように説明した動画です。

また高度で難解なルーティングの応用も紹介しています。

ルーティングの応用

例えば、ライブで演奏するときに同期音源を流したいことはよくあります。このときに注意する点として、

  1. ドラマーへの返しとクリック再生
  2. 会場ミキサーへの同期音源出力
  3. ドラマー以外の返し音声

があげられます。

最低限の入出力しかもたないインターフェイスの場合、クリック音をドラマーのイヤーモニターだけに出力、会場ミキサーへは、クリック音はミュート、など自由度が聞きません。しかし、Antelope Audio の全てのインターフェイスは内部で自由にルーティング出来るため、そのような設定も簡単に行うことができます。

例えば、このようなモニタリングシステムを構築できます。

  1. USB PLAY 1-2 (DAW 上の同期音源) → MIX CH1 の 1-2 ch
  2. USB PLAY 3 (DAW 上のクリック音)→ MIX CH1 の 3 ch
  3. ギタリストのギターの音を Hi-Z にインプット PREAMP1AFX 1 にギターアンプシュミレート → MIX CH1 の 4 ch & LINE OUT 1 → 会場ミキサーへ
  4. 会場ミキサーからドラム三点、ベース、ボーカル → PREAMP2 (Line 受け) → MIX CH1 の 5 ch
  5. MIX1 L/R (バランス調整は内部ミキサーでも可能) → HP1 (ドラマーがイヤーモニターで聞く音)
  6. USB PLAY 1-2 (DAW 上の同期音源) → Monitor 1-2 (会場ミキサーへ)

のような音声を内部ミックスを介してドラマーに送れば、プロさながらのモニタリング環境を構築できます。

また、会場ミキサーで演奏者のモニタースピーカーに返しを作れば、同期の音もギターのアンプシュミレーターの音も簡単にライブに導入できます。また、複数の出力を D-Sub 経由で出力し、会場ミキサーへ送ることが出来るのであれば、複数の音声もパラ出しができ、会場のミキサーエンジニアに最適なバランスで調整してもらうことも可能になります。

高度なルーティング

Mac の場合、Audio MIDI 設定のスピーカー設定から、再生するチャンネルを選択できます。ここからブラウザや iTunes の再生チャンネルを変更できるため、さらに柔軟なルーティングが可能になります。例えば、WEB 配信などで様々な音源ソースを利用する場合、デバイスのルーティング画面とミキサーでまとめ、好きなチャンネルに 2Mix を出力、そのチャンネルを配信のチャンネルに設定することで、Antelope Audio のデバイス1台で配信用のシステムを構築できます。

例えば Orion Studio Series はマイクプリが 12基 ついているので撮影現場でも大活躍するデバイスです。収音用のマイクプリが 8ch だと少ないけど、16ch は要らない、ということは今まで散々経験してきた方が多いと思います。マイクプリだけでなく、補正用のコンプレッサー、イコライザー、そしてゲートまで無料でエフェクトが付属します。かなり役立つ1台だと思います。他にわざわざシステムを作って持っていく必要はありません。1台で完結できます。

1つのインターフェイスで 64ch に対応した大型システムの構築

また、Orion32+ や Orion32 HD はルーティングを活用することで、2台で合計 64 In / 64 Outのアナログ入出力扱えるインターフェイスとなります。

例えば、Orion32+ は Thunderbolt 接続をすると、64ch のレコーディング入出力を利用できます。アナログ入出力は Orion32+ の場合、最大 32ch が限界ですが、MADI を利用することで、更に 32ch 分のレコーディングとアナログ出力を構築できます。(Orion32 HD の場合 USB3.0 で 64ch 扱えるので同じようにシステムを構築できます)

  1. LINE IN に 32ch 分 アナログ入力し、LINE IN 1-32 (From) を TB REC 1-32 (To) にルーティング
  2. 別の Orion32+ の LINE IN に 32ch 分 アナログ入力し、LINE IN 1-32 (From) を MADI OUT 1-32 (To) にルーティング
  3. 別の Orion32+ の MADI OUT をメイン Orion32+ に入力、MADI IN 1-32 (From) を TB REC 33-64 (To) にルーティング

このようにルーティングすることによって、今までは不可能であった、Native (ProTools HDX System 以外の) DAW で、32ch 以上のアナログの入出力が可能になります。

このルーティングの応用は 64ch に対応した、Goliath、Goliath HD でも可能です。特に Goliath シリーズは Line in は 32ch 対応し、MADI にも対応しているので (しかも2端子)、64ch/192kHz 対応の大きなシステムを Goliath シリーズ1台で構築できます。