1)他社に比べたら、Antelope Audioの特徴はどこにありますか?

2013年、僕のシステムのPCが4台から6台へ徐々に大きくなっていった時期だったので、安定し尚且つ効率的にワードクロックを分配する機材を導入する必要が出てきました。それで2013年から自分のシステムにTRINITYを採用しました。それ以前からレコーディングで訪れるアメリカのスタジオはどこへ行ってもTRINITYが装備されていましたし、アメリカのワードクロックの分配方法はStar Distributionと呼ぶ接続方法で日本のスタジオとは違っていましたね。Star Distributionを自分のシステムに導入するためにもTRINITYが必要だったのです。それと10Mも併用すると明らかにサウンドのディテールが良い方向へ変わるということも体験したので、TRINITYと同時に採用しました。

僕はプロジェクトの内容によってDAWをProTools、Cubase、Logic Xを使い分けますが、CubaseとLogic XはCore Audio Driver経由でAvid社のI/Oで鳴らしていましたが、Core Audioのクオリティーが最早現代のプロダクションのレベルとは合わず、ずっとフラストレーションを抱えていました。ProToolsのハードウエアの信頼性と同等のクオリティーを満たすI/Oを探していたのですが、NAMMショーでみかけたOrion Studioが気になって試したらとても良かったので自分のシステムに採用することにしました。

2)Orion Studioは貴方のワークフローにてどの場面にご利用でしょうか?効果はありますでしょうか。

自宅で使っています。実は僕はギター弾きなのですが、Orion Studioは実際とてもギタリスト・フレンドリーなんI/Oなんですね。過去に何度か自宅で録音したレアなエレキギターのシグナルをスタジオで本物のアンプで鳴らすと言う所謂Reampを何度か試した事があるのですが、正直期待した程の結果は得らませんでした。Orion StudioのReamp Outputsはやっと満足できるクオリティーのリアンプに巡り合えたように感じています。

3)Orion Studioの一番ユニークなところはどこにあると思われますか?

外から見えにくいですが、クロックの精度ですね。同じI/Oでもクロックの精度で音が変わるという経験を何度かしてきたので、デジタル機器はとにかくクロックの精度が重要だと思います。本体のクロック精度が高くそれでいて信頼性が高いということはポータブルな環境でレコーディングしても、ポストプロダクションまで持ち込めるクオリティーをこれ1台で得られるということですからね。

4)Orion Studioを使い始めてから、作成された曲の品質は変わりましたか?

リバーブのテールや粒立ちがとても聞こえやすくなりました。EQの設定に於いても同様です。自分のトラックを車で試聴して「やっぱりリバーブがブライト過ぎたな、ローが出過ぎだな、、」というミスが減りました。つまり音を把握しやすくなったのです。

5)FPGAによるFXをご利用になりましたか?どのような印象を受けましたか?

レイテンシーが小さくなる技術は全て歓迎します。作曲中にギターを弾いていて、特にリズムがシャッフル系のグルーブの場合、レイテンシーほど気分を削がれるデジタルマターはないですから。仕事とは言え、高揚感を伴わない演奏はただの「作業」になってしまいますからね。

6)どのような用途に日本の利用者にOrion Studioをお勧めでしょうか?

僕と同じようなギタリストにお薦めします。単にI/Oとしてではなく、DAWの機能をさらにエクスパンドしてくれるような機材です。1Uでそれほど重くないですからリハーサルスタジオでリアンプして自宅に戻ってトラッキングを続けるというワークフローが現実になります。

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